*gift*

繋留流産、胎盤遺残を経て無事出産へ

産婦人科3回目、繋留流産

ある時、あんなにひどかったつわりが9wでピタリと止んで、食欲も出てきた。急に体調が良くなったのが逆に不安で病院へ。前回から3週間後だったのでちょうどよかった。

出血はまったくなかったので大丈夫だろうという気持ちが半分あった。

検索した知恵袋で色んな意見を読んだ時も「大丈夫」という意見が多かったからそれにすがってもいた。

昼前の受診だったので、終わってすぐ食べられるように行く前にコンビニでおにぎりを1つ買った。たまたま全品100円のときで、小さくラッキーを感じた。

病院へ行くと、新生児を抱いた女性が退院する場面に出くわした。スタッフの皆さんが玄関に出てお見送りをしていた。

きっと私も大丈夫。半ば自分を励ましながら病院へ入った。

早くエコーを見て安心したかった。

受付で初めて母子手帳を出す。受付のお姉さんが「母子手帳のカバー差し上げてます、どちらがいいですか?」と言うので、赤と青のうち、赤の方を付けてもらった。嬉しかった。

ドキドキしながら内診室へ行き、診察台に乗る。その日は男の先生で、器具を入れられる時がちょっと痛かった。そして祈るようにモニターを見た。

一回り大きくなった赤ちゃんが見て取れたが、異常も一目瞭然だった。

心臓が止まってる。

「うーん、この間より大きくなってるんだけどねぇ…」

先生が言葉を選んでいるのがわかった。自分の目の前が涙で霞んだ。

「心臓がね、動いてないんだよ。順調だと思ったんだけどなぁ」

声を押し殺して泣いていたつもりだけれど、身体が震えているのでバレていたと思う。

「診察室で詳しいお話しましょうね」

涙をぬぐって診察室へと移動した。

赤ちゃんが1週間前に成長が止まっていたこと、原因が分からないことなど説明を受けたけど、こらえきれず泣き出してしまった。看護師さんがそっとティッシュを差し出してくれた。

念のため4日後にまたエコーを見てみて、それでもやっぱりだめなら次の日に手術をしましょう、と先生が言った。4日後から1週間の間は予定を開けておくようにとも言われた。

「まだ分からないけれど」というのを先生は強調していたけど、子宮内容除去手術(掻爬手術)の同意書を渡された。2枚複写式のものだった。

「ご本人とご主人の署名捺印をして次の時に持って来て下さいね」

ぼんやり受付を済ませると、受付の人が気まずそうに母子手帳を返してきた。本来なら妊婦健診1回目だったけれど、切り取られた1回目の券が未使用のまま戻ってきた。そう言えば今日が10w3dで赤ちゃんは1週間前の9w3dで成長が止まってるって言われたけど、毎回言われるw数が違っていて地味に戸惑った。(前回言われたw数で考えるとこの日は私の中でまだ9w目の予定だったから。このズレは何だろう?)

駐車場に戻って、車の中でまず主人にTELした。

「今終わった」

「うん」

「赤ちゃんダメだった。お腹の中で死んじゃった」

そう言ったところでまた涙が押さえきれなくなった。わんわん泣いている私に「大変だったね」「大丈夫だよ」そんな声をかけてくれた。あんなに楽しみにしてくれてたにごめん…。主人に申し訳なかった。

その流れで実家の母にもTELをした。

「赤ちゃんダメだった」と伝えたら「えっ何で!?」と驚いていた。流産経験のない母には衝撃だったらしい。それでも必死に慰めてくれた。

TELのあと、思い出したようにおにぎりを食べた。大好きな鮭おにぎりだったけど何の味もしなかった。車の中で泣きじゃくりながら食べた。

帰りにお気に入りのパン屋さんに寄った。食べたいものが分からなくて、無難にあんパンとクリームパンを買った。車の中でクリームパンを一口食べたら美味しかった。あんパンも一口食べた。美味しかった。つわりのときは甘いものがダメだったけど、この時は皮肉にも美味しかった。

家に帰っても何も作る気になれないと思って、帰り道のうどん屋さんに寄った。店の一番はしっこの壁向きの席でうどんを食べた。しばらくぼんやりして、さっきもらった同意書を見返した。複写式の2枚目を何気なくめくると、「希望なし」という文字がはっきり写っていた。多分カルテの文字が写ったんだと思う。先生は一生懸命フォローしてくれてたけど、この凡ミスは正直きつかった。うどん屋で声をださずに静かに泣いた。空いてる時間帯だったのが救いだった。

スマホで「繋留流産手術」「繋留流産後 妊娠」こんな検索をした。次の妊娠のことを考えて、少し気分が上向きになったところでうどん屋をあとにした。

家に帰ってすぐ布団に潜り込んだ。気の済むまで泣いて眠った。

主人が帰ってくる音で目が覚めて、また泣けてきた。主人も相当ショックだったらしく一緒に泣いた。

妊娠がわかってから1か月だったけど、あっという間に夢が終わってしまった気分だった。